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  まったりセツナの偽島&その他ネトゲ日記。 本人脱力系なので、脱力して読んでください。
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●お知らせ:
「ダンスマラソン大会」とお花見の打ち上げチャットを開催してくださるそうです!
全コメはもう少し待って!!(駄目主催者)
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本当に更新に全コメが間に合わないとか駄目過ぎる。
いや一応言い訳はあるんだ。

最近頭が重くてふと意識を失うとか。

片頭痛か?そうなのか!?

最近納まっていた微熱発熱もぶり返してきたかもしれない予感。
これがただの風邪とかだったら笑う。でもその方がいいなぁ。
ちなみに関係ないですが
今回コミュで中間発表などをさせて頂いています。(駄目じゃねーか)
もしまだチキレされている方のために掲載。

ビス様:ユウさん
クインス様:ディーンさん
くろとルナ様:エックスさん
エリオ様:アリーネさん
エックス様:勿論ご自身エックス様
クルーシェ様:桜花さん
ファナ様:アリーネさん
クアドリ様:10さん
桜庭撫子様:エドゾーさん

エックスさんとアリーネさんに2票入っていますね。はてさてどうなる事やら。


では最後にイベント日記の締めを掲載しておきましょう。



~Erste Liebe 第伍話 『初恋』~



――本当は、わかってた。

自分の抱くこの想いは、独りよがりだということ。
どれだけ願っても、彼の瞳には自分が『女』として映らないこと。
わかっていたけど、認めたくはなかった。

だから私は、ずっと彼の優しさに甘えていた。

それが彼にとって、どれだけ心を砕く事であるのか。
そんなこと、考えたこともなかった。
私はただ何も考えずに、あの人の重い荷物になっていた。

でも偽りの魔法は解けてしまった。真実という鍵によって。
現実という刃が、今度は私に向かって牙を剥く。
正直かなり傷ついた。躰の真ん中をぶち抜かれる思いだった。

だけど、逃げちゃいけない。
これは今まで私が彼の心を殺していた、代償なのだから。

私は歩みを速めた。もうすぐ行きつく先に、きっと彼が待っている筈だから――。


★★★


レンジィさんは、顔の強張っている私を緩やかに笑って迎えてくれた。

「……さっきは直接の言葉でなくてごめんよ。あの場はああしなきゃならないと思ってね。
 碧君に伝言を頼む形になっちまった。彼にも宜しく言っておいてくれると嬉しい。
 ……ああは言ったけど、君なら来るんじゃないかな、と思っていたよ。卑怯な話だけれど。」

そう言って少し申し訳なさそうに頭を掻く。

「レンジィさん、私は来ましたよ。――だって貴方が呼んでくれたんだもの。」

私は口の端に笑みを乗せた。彼が本当に私を待っていてくれたのが嬉しかった。
後半の言葉は自分でもかなり照れくさかったが、
後悔はしたくなかったのでとことん正直に気持ちは口に出す事にする。

そして、上手く言えるか分からないと前置きをしてから、私は言葉を続けた。

「私、レンジィさんの事が好き。どうしてだか分からないけれど……。
 でも、好き。この気持ちは私の根っこにあって、偽らない本当の気持ち。
 ……だから、好き。」

緊張と気恥かしさで震えていた。
でも肝心な事はちゃんと言えた。私は握った拳に力を込める。
それから暫くの間、相手の顔をじっと見つめた。

レンジィさんは瞳に哀しみを湛えて、儚く微笑んでいた。

――ああ、やっぱり。
彼の悲しく、辛そうな表情が全てを物語っていた。
心臓を掴まれたような苦渋を私に見せまいと、精一杯笑顔を繕っている。

その姿を見て、私は言葉を失った。

もう充分じゃないか、自分の本懐は遂げたのだから。
これ以上我儘を言って彼を苦しめて何になる?
胸の奥からこみ上げてくるものを溢れさせまいと、私は奥歯で噛み潰す。

――大丈夫、貴方の抱えたその苦しみをもう終わらせるから――。

そう心に決めた時、私の表情は自然と緩んだ。

「……でも、私じゃ駄目なんですよね。」

私は持てる限り精一杯微笑んだ。少しでも彼の心が軽くなるように。

「いいんです、心の底じゃ分かってました。
 分かっていても、自分の気持ちはどうしようもなかった――だから、甘えちゃいました。」

本当にどうしようもない――私は心の中で苦笑した。
レンジィさんは私の言葉が途切れると、一つ溜息をついた。

「まずは礼を言わせて欲しい。俺を好きになってくれた事と、此処に来てこうして伝えてくれた事と。
 一人にしか向ける事が出来ないその気持ちを俺に向けてくれた事も、
 ちゃんと言葉でそれを伝えてくれた事も、とても嬉しい。だから礼を言う。ありがとう。」

私には勿体ない言葉だと思った。
彼はそのまま瞳を伏せて、言葉を続ける。

「でも、俺は君を受入れる事は出来ない。……これは理由をきちんと説明しておく必要があるだろう。
 もう正念場なんだ、今更隠し立てなんかしないさ。話すよ、全部。」

全部――そう聞いた時、私の躰に悪寒が走った。
知るべきだという心と知りたくないという心が私の中を交差する。

「大きな理由は二つ。まず一つは、君と俺はあまりにも年が離れすぎているという事だ。
 俺はもう31で、君はまだ16だ。君は俺の妹より四つも年下なんだ。
 だから俺は君を見る時、どうしても地元にいる妹を思い出してしまう。
 だから、君を恋愛対象として見る事は出来ない。」

私は少し小首を傾げた。どうしてそれが拒む理由になるのだろう。
年に差があるカップルは、この島には何人も居るはずなのに。

「それで、もう一つが――こっちの方が、大きな理由になる。
 この島に来てからこの話をしたのは君で二度目だ。聞いていて楽しい話じゃないが、聞いて欲しい。」

レンジィさんは神妙な顔つきになった。
これから聞くであろう話は、恐らく彼の根本にある話なのだろう。
そして多分、私を拒む本当の理由。

「昔、俺には婚約者がいた。俺より一つ年下のひとで、俺はグラーシャって呼んでいた。
 優しいけれどしたたかで、母親みたいな人だった。元は俺の一目惚れでね、そりゃあもうベタ惚れだった。
 これからの俺の人生は彼女の為のもんだって信じ込んでた。
 ……でも、実際はそうならなかった。」

私の心にじりじりと焦げる感情が湧いたが、拳を握りしめて耐える。
レンジィさんは左脇腹を軽く押さえ、ひとつ深呼吸をした。

「ある時俺達は、結婚式の準備で買物に行った。そこで二人揃って馬車の事故に巻き込まれた。
 大きな事故で、沢山人が死んだ。俺は生き延びたけど、彼女はそうじゃなかった。
 俺が目を覚ました時には、彼女はもうこの世の何処にもいなかったのさ。――俺が24の時の話だ。」

こういう時、かけるべき言葉を私は知らない。己の未熟さをこれほど無いくらいに悔やんだ。

「何で俺だけって思った。一緒に死なせてくれりゃどれだけ楽だったかってね。
 でも俺は死ぬのが怖かった。惚れた女の後も追えなくて、俺は小さな田舎町に引っ込んだ。
 いつ俺の寿命が終わるんだろうって思いながら、惰性だけで生活してた。グラーシャが死んでからずっとそうだった。
 ……なのに、俺は。」

レンジィさんは自らの奥歯をギリリと噛んだ。こんなに悔しそうな表情をする彼は、初めて見る。

「俺は、この島に来てしまった。無理矢理だ、自分の意志じゃない。
 けれど俺はここの生活をとても楽しいと思っている。ここに来て初めて、生き返ったような気でいる。
 新しい事を沢山知った。何度も周りの人に救われた。少しずつ、気持ちの整理もついて来た。
 生きていくのは大変だけれど、それでもこんなに楽しいんだって事も、やっと思い出した。」

不謹慎かもしれないが、この言葉を聞いて私は安堵した。
彼の心が救われたなら、それが一番だと思うから。

「……でも、今の俺にはまだ割り切れない部分もある。だから――俺は君と共に歩む事は出来ない。」


決定的な一言だった。穏やかだと信じていた心に鋭く亀裂が走る。

「君が俺に好意を寄せてくれた事はとても嬉しい。けれど俺の気持ちの整理には、まだ相当の時間がかかる。
 それを待っていてもらいたくはない。君の時間は君だけのものだ。
 君の持つ貴重な時間を、俺みたいな人間に費やすには勿体なさすぎる。
 ……意に添えなくてごめんよ。俺から言えるのは、それだけだ。」

そんな事言わないで。貴方をつまらない物のように卑下するのは止めて。
貴方と過ごした時間は、私にとって幸せだった。これ以上ないくらいに。

「私こそレンジィさんからすれば、本当に迷惑な話なのにすいません。
 私、レンジィさん困らせてばっかり。」

気がつけば私の頬に雫が滴り落ちていた。
泣くのは卑怯だ。相手を一方的に悪者にしてしまう。

「なんで涙が止まらないんだろう?……可笑しいですよね、本当に。」

私は落ちていく涙を無言で拭った。
その様子を見たレンジィさんは目を伏せ、懐から小さなハンカチを取り出した。

「……あぁそんなにこすっちゃあ駄目だ、目に悪い。
 女の子に困らせられるのは、俺はちっとも構わないし大歓迎だけど――
 でもな、女の子の涙はもっと大事な奴の為にとっとくもんだ。
 俺みたいな奴の為に浪費しちゃいけない。ほら、これあげるから、ちゃんと拭きな。な?」

――まただ。
まだレンジィさんは、自分を貶めている。私にはそれが、堪らなく辛く悲しかった。
だが泣いているばかりでは彼の方が困ってしまう。
私は胸の傷を抑え込むと、口の端を少し綻ばせた。

「……なんとなくは、分かってたんだ。」

私はぽつりとそう呟いて、レンジィさんからもらったハンカチで涙を拭いた。

そう、心の底では分かってた。
分かっていたのに、彼の優しさに自惚れて一人で浮かれていた。

「でも、はっきりお返事もらってすっきりしました。……だけどただ一つだけ、言わせてください。」

私はそう言って、にっこりと微笑んだ。今度は作りものではなく、本当に。
そして微笑んだままレンジィさんと距離を詰める。

パァンッ

私は無言でレンジィさんの頬を叩いた。小気味いい程の乾いた音が辺りに響く。
当の本人は、何が起こったのか分からないという顔で目を白黒させた。

「いくらレンジィさんでも許せない事があります。
 私が惚れた、『レンジィ=ア=イーオ』という男を侮辱しないで!
 彼を侮辱するものは、何人たりとも許しはしないわっ!!」

そうだ。私にとってレンジィさんの言葉の中でこれだけは許せなかった。
愚かなのは私、彼が自分を貶める必要など全くないのだから。

「……そういう訳です。もう少し、自分に自信を持ってくださいね。」

そう言って、私は目を細める。

「ではそろそろ行きますね、今まで本当にどうもありがとうございましたっ!
 ……と、そうだ。ハンカチありがとうございます。それと……一言。」

私は悪戯っぽく笑ってみせた。そして大きく胸を張る。

「私、絶対いい女になりますからっ!!
 レンジィさんが歯ぎしりして悔しがるくらいに、いい女ってやつに!!」

満面の笑みで、私はこう宣言した。
強がりというやつだが、今はこれくらい強がっても許されるだろう。

「なぁに、君ならなれるさ。振った野郎をその場でひっぱたけるんなら上出来だ。
 ……それから、俺が言う資格はないだろうけど――これからの幸運を祈るよ。」

レンジィさんもニヤリと笑った。満足そうな笑みだと私には思えた。
そしてレンジィさんに対して深くおじぎをして、私は彼に背を向けた。

――初恋は、実らない。

誰が言ったかこんな言葉があったっけ。
でも今はただ、前に向かって歩いて行こう。私には休む暇などないのだから。

 
To be continued...?


★★★

●後書き

まぁ、こういう顛末になりました。期待していた方々、ごめんなさいね。
これも先方様と相談した結果でございます。
しかしこのENDでも私は構わないと思いました。
人生って挫折ばっかじゃないですか。しかもナコはまだ若い。
一度の挫折で折れるようなヤワな精神はしておりませんので、
前に向かって歩いていけばいいのです。うん。

ナコの若さがちょっぴり羨ましいと思いました。
では、お付き合いくださった方々、本当にありがとうございました。(多謝)

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桜庭撫子(980/前期872)
性別:
女性
職業:
女子高生
趣味:
BL漁りと(猟奇的)料理
自己紹介:
通称:ナコ様。

京都の伊勢丹でオウミ氏PLと2時間弱で作った、最強ツンデレ女王。
設定が腐女子ですが、PLはBLをあまり知りません。
よって、サブキャラ西宮碧とのツンデレが主なネタ。
まだまだナコ様は成長しきっていませんが、
どうぞ暖かい目で見てやってくださいませ。<(_ _)>
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