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  まったりセツナの偽島&その他ネトゲ日記。 本人脱力系なので、脱力して読んでください。
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今回は、ちと前半部分が長いと思いますが、
せっかくサスペンスタッチ(?)にしたのでご了承ください。
では早速ですが日記テンプレです。

---------------------------------------------------------------------

高校生の夏休み・合宿一日目


夏だ!海だ!バカンスだ!!


……などと浮かれていたのは、3人の若人のうち長い黒髪をたなびかせた少女一人だけだった。
少女の後をついてゆく2人の男達は、両手にキャンプ一式を持ち夏の蜃気楼にうな垂れている。
「……どうして自分が一番体力あるのに荷物持たないの……」
藍髪の青年がそう呟き、ずれた眼鏡の位置を直した。
もう一人――同じくテント用具を背負った金髪痩身の青年は、
ただ息を整えながら浜辺に生えていたヤシの木に寄りかかっていた。

彼らは、俗に言う「高校生合宿」に参加するために海に来ていた。
本当は金髪痩身の青年――オウミは『高校生』には属さないのだが、
同じパーティメンバーの陰謀によって(主に少女の方の)拉致に似た形で連れてこられたのだ。
その少年少女――ナコと碧の二人は、他の高校生に混じりながら談笑している。
「ええ?ログハウスがあるんですかぁ?テント持ってきちゃいました。ざんね〜ん!」
ナコの言葉を聞いて、男二人はがっくりと肩を落とす。先ほどの一言で、よほど体力を消耗したようだ。
そして少女は、そんな男達の様子など見ようともせず、自分の私物を浜辺に置いたまま海に向かって駆け出した。
……男達の存在など、目に入っていないかの如く。

★★★

「でも私、水着持ってないんだよなぁ〜。折角の海なのに。」
革靴を手でつまんでヒラヒラさせながら、ナコは素足のまま砂越しに波を蹴った。湿った砂が波の上を舞う。
「あの……よかったら、これ、使ってください。気に入ってくれるといいけど……」
声をかけられて振り返ってみると、そこには逞しい体躯のエルフの少年が紙包みを持ったまま立っていた。
暑さのためか、心持ち顔が紅潮している。


――おお!こんな所に手頃な美青年発見!!早速碧と対面させねば!!


そう直感した少女は、100万PSの笑顔を浮かべ、鈴音のような声で青年に答えた。
勿論そこに黒い野望が潜んでいようとは、青年は知る術もない。
「ありがとうございまぁす★大切にしますね♪」
笑顔のまま紙包みを受け取ると、ナコはそのまま人気のない岩場まで駆けていった。勿論着替えるために。
そして、岩場で包みを開けたナコは思わず絶句した。

「これ、ビギニじゃない!!しかもヒモパン!?」

ここにきて、ようやく青年の赤面の理由が理解できた。
腐っても乙女にこのような水着を善意とはいえ贈るとは、かのエルフの青年は別の意味で英雄と言っていいだろう。
暫く水着を持ったまま固まっていたが、突然ナコは笑い声を漏らした。


「ふはははは!!……いいわよ!受けて立ちましょう?!着るわよ!見てらっしゃい!!」


何を受けて立つかは知らないが、少女は吼えた後いそいそと岩陰で着替えだした。
そして5分後――
制服からビギニに見事転身したナコは、荷物の中からハンドタオルを一枚引っつかんだまま浜辺に走っていった。
ただそこで、偶然夕飯調達のため釣り道具を抱えたかのエルフの若者が、
少女の生着替えに遭遇してしまったり、覗きに興じてしまった後鼻血を噴いてしまったり、
あまつさえその事実が碧に知れて、
「エゼさん卑怯ですよ!僕にもその運を分けてください!!」
というヘタレ極まりない抗議を受けていたりした事は、少女は知る由もない――


★★★


「そんなぁ、浮き輪って使っちゃダメなんですか?」
砂浜へと足を滑らせていたナコの耳に、愛らしい女の子の声が入ってきた。
年は小学生くらいだろうか。
――高校生の合宿なのに、なんで小学生がいるわけ?
不審に思ったナコは足を止める。
「浮き輪持ってないと、沈んじゃうじゃないですかぁ!」
抗議と思われる少女の声は、内容と同じく可愛いものだ。
ナコは後ろを振り返り、少女を確認する。
流石に小学生には見えなかったが、中学生くらいのあとけない女の子だった。
ワンピースタイプの水着に浮き輪を抱え、必死になって他の学生達に反論している。

――可愛い!

その姿は、同姓のナコのハートをも掴むような愛らしさだった。
「アナタ、泳ぎたいんでしょ?名前は?」
汗で張り付く黒髪をかきあげ、ナコはその少女に近づいていった。
「ニラ子ですぅ。今日は泳ぎが上手になるために海へ来ました!」
少女――ニラ子は、胸を張ってそう言った。
「じゃあ私が教えてあげるよ。それでいい?」
「いいんですか?!お願いしますです!!」
自分が一番可愛いはずのナコが親切に声をかけるとは稀な事だが、助けてあげたい魅力がこの少女にはあった。
こうして即興のスイミングスクールは開校されたのだった。

★★

「ハイハイ、まずは水の中でも姿勢を真っ直ぐしましょう……溺れないから、ね?」
水の中でジタバタもがくニラ子に、ナコは両手を取って語りかけていた。
自分にもこんな優しい気持ちがあったとは。ニラ子を見ていると、微笑ましくて仕方がない。

――お母様……!

ふいに夢の中に出てくる幻影の声が頭の中をよぎったが、ナコは頭を振ってその幻影を消し去った。
「まっすぐしたら…プハッ…今度はどうしま…プハッ…いいです…プハッ」
「ああ、ごめんね。今度はバタ足をしてみよう。できるだけ両足を揃えて、脚を上下に動かして。」
そう言うと、ニラ子は無我夢中で両足をハタつかせた。威勢はいいが、これでは前に進まない。
それにしても、デジャヴにまで母親扱いされるとは。ナコは軽くため息をついた。
「ニラ子さん、まずは水の中でも目を開けようね。じゃないと体が捩れているから……あと脚は水平に……」
事件はその時に起きた。
双眼鏡を持ちながら、どこからか草むしりをしていた碧の悲痛な叫びが届く。


「ナコちゃん、ニラ子さん!今すぐ浜へ上がって!!鮫がすごい勢いで近づいてる!!」


その言葉で、ナコはニラ子の体をひっしと抱えた。勿論彼女が溺れないためである。
抱えられたニラ子は、顔を上げ水面の先を見た――そして、表情から血の気が引いてゆく。
「な、ナコさん!あの大きな三角って何ですか!?すごい勢いで近づいていますよ!!」
それが鮫であることは、さっきの碧の一言でわかっていた。
しかし、ニラ子を抱えて浜辺へ上がるのと、鮫がここまでたどり着くのとどっちが早いか――
答えは明らかだった。

――どうする!?危険生物に注意しろとは書いてあったけど、私の武器は浜辺に……。
そう、ナコの武器は邪魔だったので浜辺に刺しておいたのだ。自分の無用心が悔やまれる。
その時、ナコの頭の中に聞き覚えのある声が響いた。


『あんな鮫、八つ裂きにすればいいじゃないか。』


思うが早く――その瞬間に、ナコの右手にはいつもの武器が装備されていた。
ニラ子を抱えたまま、水を蹴って、ナコは宙に舞う――


『知ってる?鮫肉は貴重な食料源なのよ――臭みを抜けば、だけどね。』


鮫が気づくよりも早く石手裏剣が振り下ろされ、鮫は真っ二つにされた。
そのまま、鮫の血で淀む海の中へ二人は飛び込む――ニラ子はずっと目を閉じたままだけれども。
海の中でナコは意識を取り戻した。
――鮫が死んでる?どうなっているの、一体……。
いつのまにか砂浜に戻った武器の不思議を知ることもなく、ナコは顔を海上へ上げた。
「ニラ子さん、大丈夫??怪我はない??」
「ナコさぁん……」
ニラ子は泣きそうな声で、同じ状況にあるナコに言葉を投げかけた。
「ニラ子達、すごい血まみれですよ!臭いです!!」
その指摘によって、ナコは自分の周りの悪臭とまとわりつく血に注意を向けたのだった。


★★★


大急ぎで海水と血をシャワー室で流し終えた二人は、再び浜辺にやってきた。
「ニラ子さん、泳ぎ……どうする?」
「鮫さんでベショベショになったし、もういいです。それより、浜辺で遊びませんか?そういえば、スイカ持ってきている人いるみたいですよ?」
ニラ子はそう言うがまま、砂浜の中央へ走り出していった。
――スイカ割り、ねぇ。
生まれてこのかた、スイカ割りなんて数えるほどしかやってはいない。
都会娘だったナコにとっては、田舎に帰ってきた時のひと時の思い出でしかなかった。
頭の中でそのような事をめぐらせながら、ナコもニラ子のもとへ走る。


そこには、突貫工事で掘ったと思われる穴の中に金髪の男が埋まっていた。


「す、すいか、すいかどこですかー?」
思わず目を反らず一同。白々しくもニラ子は呼びかけなぞをやってみる。
「すいかありますけど、今はないです。だから僕が代わりに埋まっているわけで。」

――代わりって何だよ?!

と全員が突っ込んでみたかったが、男の不思議な雰囲気に飲み込まれて言葉を抑えた。
「あ、すいません。唐突でしたよね。僕はフェンネルっていいます。よろしく♪」
砂穴の中に入れられたというのに、このフェンネルという青年は心底楽しそうだ。
今までフェンネルのペースで自分のリズムを乱されたせいか、ナコは思いのほか苛立っていた。
「あ、ナコさん、ニラ子、スイカとってきますね〜」
ナコの不機嫌を見通してか、ニラ子はスイカを求めにログハウスの方へ向かってしまった。
浜辺にはナコと、穴にうまったフェンネルだけがとりのこされる。
これでもか!と紫外線を浴びせる、灼熱の太陽が彼女のイライラを助長させたのかもしれない。
暑さでうだった頭をおさえながら、ナコは浜辺の穴の周りを見回した。
穴の横に、スイカ割り用の棒が無造作に放ってある。
その棒をナコは何ともなく拾い上げた。そして叫ぶ。

「スイカ割りしないの?!それともこの人の頭がスイカ代わり?!割るわよ?いいの!?ねぇ!?」

返事はない。暑さで正気を失っているナコは、これを是と取り、
棒を持った右手を大きくふりかぶった。
そして、力いっぱい棒を下ろす。


バコッ


何かがきれいに割れたような、しかし生物よりは硬い感触をもった音がした。

「ナコちゃん……自分の腕力、少しは考えようよ……。」

その言葉で正気に戻ったナコは、自分の状況に愕然とした。
確かに彼女は割っていた。碧がかけつけて用意したスイカを、綺麗にばっくりと。
真っ二つになったスイカは、碧の手をつたって汁をしたたらせている。
「これがフェンネルさんの頭だったら、今頃大惨事だよ?」
「別の意味で、僕は今、大惨事だけれどもね……」
その言葉とともに、二人はフェンネルを見た。
スイカの汁まみれになったフェンネルは、それでもまだ笑みを浮かべている。
「いっそもう、ここまでくると清清しいけれども……」
「フェンネルさん、夜までこの格好のままにしておきますか?カブトムシのアイドルになれますよ。」
自分達の起こした結果ながら多少引きつつも、碧はフェンネルさんのスイカ汁を手持ちのタオルでふき取っておいた。

その時、集合の笛が鳴る。自由時間の終わりを告げる合図だ。
2限目はそうやら勉強をするらしい。フェンネルはスイカ汁まみれになった自分の頭をタオルで拭きつつ、ナコは水着の上にTシャツを羽織り、碧は二つに割れたスイカを用務員さんに渡して、各自それぞれログハウスに戻っていった。


2限目に続く

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いかがでしたでしょうか?
今更一日目かよ?しかもオリジナルイベント入れすぎじゃね?
などと思われているかと思いますが、演出です。気にしな〜い。
そして、出演を快諾してくださった皆様、ありがとうございました!(ぺこり)
(※ちなみにフェンネルさんが文字数の関係で本家日記に出てこれなかったとゆー(涙))

2限目も、ほぼ捏造で頑張ります!←ヤメレ

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桜庭撫子(980/前期872)
性別:
女性
職業:
女子高生
趣味:
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自己紹介:
通称:ナコ様。

京都の伊勢丹でオウミ氏PLと2時間弱で作った、最強ツンデレ女王。
設定が腐女子ですが、PLはBLをあまり知りません。
よって、サブキャラ西宮碧とのツンデレが主なネタ。
まだまだナコ様は成長しきっていませんが、
どうぞ暖かい目で見てやってくださいませ。<(_ _)>
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