レクリエーションで忙しい

突然ですが、明日から琴平温泉に行ってきます。
例によってオフ会の前です。

よっていろいろ反応が鈍い所があるかと思います。
取引とか取引とか取引とか。
携帯などで出来るだけチェックしておきますが、
少しお時間頂く事をご了承くださいませ。

PCのある旅館だといいんだけどなぁ。（´・ω・｀）
それでは、謝肉祭イベの日記を格納しておきますね。

 

〜carne vale〜

島にはいろんな文化を持つ人々が集まっている。
いわば、文化のるつぼと言ってもいいだろう。
そんな出身も文化も違う人々がハメを外して踊りあう、
あの祭が、この島でも行われるのだ――。


★★★


「碧君、これなんて書いてあるの？」

遺跡外に出た折、カンナちゃんが無造作に貼ってあるポスターを指差した。
思えばこれが最初であり元凶とも言えよう。

「ああ、『carne vale』……ラテン語で『肉よさらば』って意味だね。」

そういえば、と僕は思い出す。
日本では馴染みは薄いが、もうそんな時期だったのか。

「なんだ、ベジタリアンの標語なんて貼ってどうするんだろ？」

予想通りというか、カンナちゃんには意味がよく分かっていないらしい。
説明を足そうかと僕は口を開こうとした。

「違うわよ、謝肉祭の事でしょう？」

ふいにナコちゃんが口を挟んだ。
僕は目を丸くする。

「何よその反応はっ！？
　言っとくけどね、私はカトリック系の学校通ってたのよ？
　これくらい常識でしょう？！」

やや憮然としてナコちゃんが口を尖らせる。
確かに乱華女学院は有名なカトリック女子校だったはずだ。

「あ、いや別に深い意味はないんだ。気を悪くしたら謝……」
「あ！知ってる！！お肉に感謝するお祭りでしょう？！」

とたんに目を輝かせて話に食いついてくるカンナちゃん。

「日頃食べているお肉に感謝していろんなお肉の料理を食べるんだって、
　ナコちゃんが言ってた。」
「……。」

僕は無言のままナコちゃんに視線を向けた。あちらは露骨に目が泳いでいる。

「……何よその目は。
　言っておくけど、説明が面倒くさかっただけだから。
　キリスト教徒じゃあるまいし、カンナに本当の意味を教えて何になるの？
　あっちじゃ大きなお祭りだけど、日本じゃこれっぽっちもやんないんだからっ！！」
「子供に嘘教える程面倒な理由でもないような気はするけどね……。」

僕は寸での所で、『本当は知らなかったんでしょう？』という言葉を飲み込んだ。
ナコちゃんと上手に付き合うコツは、適度に諦めることである。

「お肉食べるお祭りじゃないの？」
「違うよ。仮装したりして、お菓子投げたりするお祭り。
　主にヨーロッパや南米でやっているみたいだけど、僕達には馴染みが薄いね。
　この島では民族衣装を着て、宴会をするみたいだ。」

張り紙に目を走らせる。どうやら、冒険者用に貸衣装もやっているらしい。

「衣装貸してくれるみたいだよ、どうせなら寄っていく？」

僕等はこれから何日か遺跡に潜る事になる。
カンナちゃんは嬉々として、そしてナコちゃんは面倒そうに頷いた。

★★

「結構種類があるんだね……。」

ところ狭しと掛けられている衣装を見ながら、思わず呟いた。
ヨーロッパ・南米はおろかアジア、オセアニアの少数民族に至るまで網羅されているらしい。

「ナコちゃんは何処の国の衣装にするの？」
「スペイン。サッカー強いし。」

それは理由になっていない。

「ナコちゃんサッカーに興味あったんだ？」

カンナちゃんも不思議そうに尋ねる。

「何を言っているの？キャプ翼はBLの原点よ？
　翼の所属チームを知らずしてBLは語れないわっ！！」

……ああ、そっちか。
僕は何故か安堵しながらスペインの衣装を探した。
確か、フラメンコの衣装なら向こうにあった筈……。

「ちなみに確認するけど、スペインの衣装でいいんだよね？」
「もう見つかったからいいわよ、これから試着してくるから。」
「……え？あの、スペインの何を着るつもりなの？」
「マタドール。」

一応捕捉させてもらうと、マタドールとは闘牛士の事である。

「……は？」
「スペインって言ったら闘牛でしょう？女のサイズがあるか店番に聞いてくるわ。」

ナコちゃんはつかつかと居眠りをしている店員の所まで行ってしまった。
呆然として僕は彼女の後姿を見送る。

「碧君、またどーるってどんなお人形の衣装なの？」

目を輝かせて聞いてくるカンナちゃんにどう対応するか、一瞬眩暈がした。


★★★


――数日後。お祭りの当日の朝の事である。

「……何がコゲ臭いけど、どうしたの？」

何か嫌な予感がして、僕は眠い目を擦っているカンナちゃんに問いかけた。

「うーん……ナコちゃんが台所に行ったんじゃない？
　昨日張り切って草原に出かけていたから。」

草原に昨日出かけて……台所？
猛烈に嫌な予感がした。料理に関しては、彼女は2年前からいろいろと前科がある。

しかし、全ては遅かった。

「お・待・た・せ☆謝肉祭用の料理よ♪」

出てきたのは、得体の知れない肉の塊のようなもの。
炭と酢とハーブが合わさった怪奇な臭いを放っている。

「今日は謝肉祭ですもの、しっかりと食べて行ってね☆」

わざとだ。絶対、わざとだ。
しかし当てつけだと分かっていても、
食べざるを得ないんだろうなと僕は思わず左手で十字を切った。


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