惚れ薬投与祭り その1

（追記）お知らせ

●66コミュ狙撃チャット　弾丸逆引きページ

本当にお疲れ様です。全コメまで目指されるとは。（汗）
くれぐれも無理なさらぬようにしてくださいね。
狙撃した方被弾された方の一覧がまとめてあります。圧巻。

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偽島休止の間にやっておきたいことの一つでした。
かつてPMコミュ『LABO』にて台詞だけでやっていたイベントがあるのです。

PMの一人が念願の「惚れ薬投与」を習得した記念に。

どんだけお気楽なんだウチのPT。
そして半年くらい前のこのイベントを今になって書き下ろす自分は何なんだ。
それより「偽島ごきげんよう」の企画進めろよ自分。

まぁ進んでいないわけではないのです。
ただいろんな事がやりたいだけです。（´ー｀）←駄目フラグ

という訳で、お読みになる方は続きをクリックしてください。
連載ものになると思います。予定は三回ですが……はてさて。

深い深い闇の中――

陰鬱な湿気を帯びた部屋の片隅で、カタカタとガラス器具が揺れている。
細長い容器に入っている琥珀の液体は、
煤色の煙を吐きながら細長い指によって攪拌されていた。

「クックック……ようやく完成です。後は生物実験を残すのみ……。」

かすかに男の声が聞こえる。
男は口の端を歪め、息を吸うような音をたてて笑っていた。


そう、この時からもう事件は始まっていたのである。



★★★



所変わって、とあるキャンプ――
そこには制服を着た少年少女と、物干しざおを持った細長い男が夕飯の食休みに入っていた。

「碧ー。ハーミッド先生はドコ行ったの？」

黒髪の長い少女の方が、眼鏡をかけた少年に話しかける。
碧と呼ばれた少年は少し首を傾げた。

「カレー食べた後自室のLABOに戻っちゃったみたいだよ。先生、最近研究が軌道に乗っているみたい。」

碧はそう言って話題の主――ハーミッドの事を思い浮かべた。
ざんばらな長い白髪に牛乳瓶の底のようなぶ厚い眼鏡、
いつも何を考えているか分らないような奇怪な笑い声。
出会ったモンスターを捕獲しては動物実験を繰り返しているらしい。
およそ人として褒められた言動ではないが、ハーミッドに魅せられるものたちは少なくない。
素顔は格好いいようだけど……という所まで頭を巡らせて少年は思考を止めた。

――やめよう、ようやく僕達は仲間になったのだから。

食器の後片付けをしながら、碧は雑念を払いのける。

「さて、遺跡も出て一息ついた所だし、皆に紅茶でも出すか。」

片付けを終わらせて、少年は個々の名前の書かれたマグカップを取り出す。
慣れた手つきでポットに茶葉を入れ、蒸らした後紅茶を注ぎこむ。島のコンビニで買った、アールグレイだ。
人数分の紅茶を用意して皆の所へ持って行く。その途中で碧はLABOを覗きこんだ。

「先生、いらっしゃいますか……？」

返事はない。いつもはガラスの擦れ合う音や刺激臭のするこの部屋も、今は全く気配がない。
少し部屋に入り周りを伺っても誰もいなかった。
諦めて出ようとした矢先、机の上にポツンと小洒落た瓶に入った琥珀色の液体を目にとめる。
テーブルにお盆を置き、試しに小瓶の中の液体の匂いを嗅ぐ。噎せるようなアルコールの匂いだ。

「香水？……いやいや、これはブランデー？」

香水にしては香りが無さすぎる、匂いから察するに酒系統だろうと予測できた。

「紅茶にブランデー入れて飲むのが通な飲み方だって聞くから、これも隠し味に入れておこう。」

そう言って碧は、全員のカップの中に琥珀の液体をぽたぽたと入れていく。
小さな小瓶の液体を半分くらいまで入れたところで、瓶に蓋をして元の所に置いておいた。

「先生本当にどこ行ったのかなぁ？まぁいいか、あの人なら忘れた頃にやってくるだろう。」

至極簡潔に疑問を払拭した少年は、再び紅茶の乗ったお盆を持ってキャンプファイヤーの方へ向かっていった。
そして、数分後――
煤けた黒いローブを着た瓶底眼鏡の男が戻ってきた。このLABOの主、ハーミッドその人である。
ハーミッドは中身の減った小瓶を見て眉間に皺を寄せた。

「・・・おや？ココに置いてあった試作惚れ薬が半分になってますね？」


――波乱の幕開けであった。





（つづく）